夕日を見ていて思い出したこと

060619

ずいぶん昔の事で、実際のところ自分でもどのくらい前の事かは覚えていないのだけれど、ある地方の駅で遭遇した場面を、この夕方の空を見ていたら思い出しました。


それは70歳過ぎのお婆ちゃんと、不法就労者と思しきイラン人の兄弟とのやり取りの事です。


実家のテヘランに帰るという兄を駅まで送ってきた弟は日本語が堪能でしたが、どうやら兄は全くそれを理解できない様子です。
そうと解ったのは、近くにいたお婆ちゃんがその2人に話し掛けていたからなのですが、モチロンこの兄弟とお婆ちゃんは見ず知らずの関係で、その場に居合わせただけの事で…。
以下、この2組の会話です。


お婆ちゃん:あんた達はどこから来たんだ?
兄:!?
弟:イランのテヘランです。今から兄さんはテヘランに帰るんです。
婆ちゃん:テヘランは寒いのかい?雪は降るのかい?
弟:雪は数十年に一度は降りますよ、テヘランにも…。


私はこの会話には加わらなかったけれど、でもなんともこの光景を見ていて本当に嬉しく思いました。


とかく白人以外の異邦人に対して、偏見的な視線を投げ掛ける傾向に在る我ら日本人。
でもこのお婆ちゃんにはその片鱗さえも無かったんですよね。


正直に言えば、かく言う私だって特定の国の外国人に対して、経験的に『ダメだ!』って思っていて、そういう意味では外国人への偏見が皆無な訳ではない。
しかし同時に次の機会にはそれを払拭する様な経験を、その(私が偏見を持つ)国の人と達成したいともそう思っています。


文化や歴史の違いなんて、実は大したことでは無いのだと思います。
最も大きな問題は、やはり事前に保有している“偏見”と“思い”なのだと思うのです。


それを超えた付き合いができる事…。
さてどうしたものですかねぇ〜。