[車]期待の果てに見えてきた現実  − シトロエンDS5発表試乗会 −


8月1日から発売となるシトロエンDS5の発表試乗会“Citroen DS Line Experience 2012 in Gotenba”に行ってきました。
場所はマースガーデンウッド御殿場。



《御殿場ICの横にある“マースガーデンウッド御殿場”が今回の会場。プレス向けの発表会のオマケとはいえ、こういう演出には特別感を感じてしまいます。》


プレス向けの試乗会の翌日に一般人向けのイベントを開催するというのは、昨年9月に開催されたDS4のイベントに引き続いてのこと。
その名が示すとおり、DS5だけではなく他のDSラインも併せて展示されていて、事前予約による試乗もできるというものです。


《思っていた以上に多くの人が来ていました。試乗の予約ができなかった人も多かった様子。》


昨年の上海モーターショーで発表されて以来、恋い焦がれるづけていたDS5。
そのDS5に思う存分にお触りし捲ることができる時がやって来ました!
しかも試乗までできるということで、前の晩は興奮して眠れませんでしたね、正直…。


《ウチのプルリエルとDS5&DS4の3ショット!やっぱDS5は白だなぁ〜。》


《昨年の東京モーターショー以来の再会。何度見てもカッコイイ!》


さらに今回は初めてDS4にも載ることができたの、それも含めての報告です。


【DS5の内外装はバーゲンプライス!】
ハッキリいって、内装とデザインに関してのCPは文句のつけようがありません。
プレミアム感満載のこのデキで¥400万ポッキリですから、誰がなんといおうがバーゲンプライスで、ユーロ安を誠実に反映させているインポーターの姿勢を高く評価したいと思います。
それに比べ隣の国のジャガイモ野郎たちなんて、この為替の状況に在ってもまったく値段下げませんからね。


《それにしても最近のシトロエンはクロームパーツの使い方うまい!エレガントで適度なゴージャスさを巧みに演出しています。》


内外装については、個人の趣味・嗜好の問題も大きいので結論じみたことはいえませんが、個人的には所有欲を大いにくすぐるものであると感じています。


《スゴイ人気です。このブラウンヒッコリーという色はインポーターのお気に入りな様子で悪くはないのですが、ちょっと重いんだよなぁ。》



【DS5の走りはあまりにも普通】
午後になっていよいよ試乗の順番が回ってきました。



《待ちに待った1年と数ヶ月。やっと憧れのDS5のステアリングを握る時がやって来ました。》


さて、イヨイヨです。
シートとミラーを合わせて準備万端!
試乗に出発!


っが!しかし…。


ココまで持ち上げ捲っておいてナンですが、結論からいうとDS5の乗り味にはガッカリしています。


主催者側に文句を言いたいほど短い10分程度の試乗時間ですから、深いことが分かる訳ではありません。
しかしそれにしても、DS5のデザインに見られるスペシャリティ感が、エンジンやトランスミッションから全く感じることができなかったのは残念です。


また試乗車個体の問題かも知れませんが、ドライブトレーンからと思われるノイズが走り出した瞬間から明確に耳に入ってきたのには、正直興醒めしてしまいました。


解ってはいたことですが、毎度おなじみのBMWと共同開発した1.6Lエンジンとアイシンのトルコン6速A/Tとの組み合わせは必要十分ではあるものの、操る者の気分を高揚させる様なエッセンスは持ち合わせてはいません。


それに演出という意味合いでパドルシフトはあってもいいと思うのですが、それもDS5には装備されていません。
また、アイシンのA/Tにはシフトダウン時のブリッピング機能(←コレはオトコ心を擽るんだなぁ)もついてはいません。
両機能ともDS4どころかウチのプルリエル(2007年モデル)にさえ装備されているというのに、ちょっとチグハグな感じはします。


シトロエンのコアなファンがDS5に乗ったら、『コレならC5の方がいいじゃん!あっちにはハイドロ付いているし。』というかも知れません。
実際、DS5が欲しくて欲しくてたまらなかった私自身でさえも、エンジンとトランスミッションが同じならC5の方がイイかもしれないと思い始めています。


う〜ん!困りましたねぇ〜。
デザインが突き抜けてイイだけに、それに比べて平凡ともいえる乗り味とのバランスが取れていません。

ものすごく極端な表現をすると、フェラーリトヨタサルーン向けのエンジンを積んだ様な感じです。
けして悪くは無いのですが…。


正直、私のDS5購買意欲はかなり冷めてきています。



【気になったこと? ナビについて】
購入をマジで考えている者として気になっていたオプションの純正ナビについて、インポーターの方に聞いてみたところ、以下の様な回答をもらいました。
・価格は¥20万(程度)
パナソニック
・今回はマジメに作りました。
・標準装備のマルチファンクションディズプレイの機能も取り込んでいる専用設計
・地図の記録メディアはメモリ


私としては『オプションのナビは選択せず、DINサイズであれば市販品をインストールしたい。』と思っておりましたが、マルチファンクションディズプレイの機能も統合されているというのであれば、コレを選択しないわけにはいきませんね。
純正ナビ、オプション追加決定です!


ただし、やはり市販品のナビの筐体を流用しているためか、それともアタッチメントの設計のツメが甘いためか、いずれにせよ微妙な隙間感というか“後付け”っぽい雰囲気があることは否めません。
まぁこれについては許容範囲の話しではあります。



【気になったこと? Hybrid4】
実は今回私がこのイベントに参加した最大の目的はDS5の試乗ではありません。
では最大の目的が何かというと、それはDS5の最大の注目モデルである“Hybrid4”の日本導入があるか否かについて、インポーターの方に確認をすることにあります。

既存のどのものとも異なるPSA独自のハイブリッドシステム“Hybrid4”が搭載されさえすれば、ハイドロを持たないことを補って余りある魅力をDS5が持つことになります。


そいう超目玉といえる玉が後に控えている状態で、仮に今回出た1.6LガソリンのFFを購入しても、ほどなくしてHybrid4が追加されたりする様なことがあっては悔やんでも悔やみきれるものではありません。
Hybrid4については昨年9月のDS4のイベントの時にもインポーターの方に確認しましたが、その際には『可能性がない訳ではない…。』という玉虫色ものでした。


今回改めてHybrid4について複数のインポーターの方にお話をお聞きしたところ、以下の様なお話を聞くことができました。
・インポーターとしてはHybrid4を入れたいと思っており、PSAに意思表明をし続けている。
・PSAのディーゼルには自信があるので、そういう意味でぜひもHybrid4を日本に導入したい。
プジョー3008も含めHybrid4を輸入できるか否かの最大の問題は、搭載しているディーゼルエンジンが今後日本の排ガス規制をクリアーできるか否かである。
・現在PSAのディーゼルはユーロ5の排ガス規制をクリアーしているが、日本の排ガス規制は次世代のユーロ6相当であるため、いずれにせよそれへの対応を待たなければならない。
・ユーロ6をクリアーした上で、マーケティング的に日本で売るか否かPSAの判断となる。
・以上のことから、いずれにせよ2013年にHybrid4が日本に導入される見込みはかなり薄いと。


個人的には一部で噂になっていたガソリンエンジンのHybrid4が導入されるかと思っていましたが、どうやらそれはなさそうな感じです。
インポーターはあくまでもディーゼルを入れたい意向をお持ちの様子ですね。


さて、またコレで困ったことになりました。
Hybrid4が出るまでDS5の購入を保留にするか、それともHybrid4を諦めて発売されたFF選択するか、はたまたHybrid4が出るまで繋ぎでC5(中古)に載るか…。
ドーしましょうかねぇ〜。



【EGSは意外にイイ!】
今回はDS4 Chicにも試乗することができました。
コレが予想外にとても良かった!


なにが良かったかといいますと、それはもうエンジンとトランスミッションのバランスが最高で、今まで『今どき“シングルクラッチ”のロボタイズM/Tなんて、大メーカーとして良くもまぁ売ることができるもんだ!』と思っていた考えが100%覆りました。


EGSイイです!
DS5もアイシンのトルコンやめてEGSにして欲しい!



《いちばん後ろ白いのに載せてもらいました。DS4の試乗は妻が予約した分です。》


DS4 ChicのエンジンはDS5と同スペック(156HP)なはずですが、200kg近い車重の差とトランスミッションの違いからでしょう、全くの別物としか思えません。


ウチのプルリエルはEGSの前身であるセンソドライブというシステムなのですが、センソのネガが確実かつ的確に潰されていて、良い部分だけが残っている様に感じられます。
もちろんトランスミッションとしてはツインクラッチになった方が良いには決まっていますが、そのことと引き替えに消えてゆく魅力も少なくない様に感じます。


サイズ的にも金額的にもDS4という選択は私にはあり得ませんが、でもこんなにいい車だとは思っていませんでしたので、ご興味をお持ちの方には強くオススメします。



【DS5の結論】
DS5というデザインコンシャスな車の性格上、どうせ買うのであれば旬を逃さずにという思いは強くあります。
しかし、今回の試乗の結果を踏まえ、どうするかについてもう一度白紙に戻して考えてみることにします。


《さてドーするよ!》


思いを抱き続けた1年と数ヶ月間という期間が長すぎたのかなぁ〜。